日本臨床外科医学会雑誌
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穿刺吸引細胞を用いた乳腺腫瘍の核DNA量測定の問題点
濱路 政靖中尾 量保仲原 正明荻野 信夫西田 俊朗長谷川 順一辻本 正彦黒川 和男
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1994 年 55 巻 2 号 p. 298-303

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抄録

乳腺腫瘤を主訴とした外来患者108名の穿刺吸引細胞診 (ABC) に得た残存細胞 (FNA) をフローサイトメトリー (FCM) を用いて核DNA量を測定し,切除組織の核DNA量と対比した.
線維腺腫30例は全例Diploidyを示し,摘出し検索した線維腺腫11例の組織のPloidyとの不一致例はなかった.乳癌70例中61例が解析可能で,組織のPloidyと臨床病期,組織型との関連はなかった. FNAと組織Ploidyの一致率は80.3%で, Aneuploidyを示したDNA Indexは有意に相関した. Aneuploidy出現率はFNA, 組織のFCMで有意の差がなかった.反復FNA-FCM施行例でのPloidyの再現性は,組織のそれに比し劣っていたが, Aneuploidyの検出が確診への手がかりになった症例が12例中2例にみられた. FNA-FCMは,臨床応用可能であるが,腫瘍の複数の部位から可及的多数の細胞数を用いて反復測定し, Ploidyを総合的に評価する必要があると考えられた.

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