日本臨床外科医学会雑誌
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肝切除術後の免疫能に及ぼす新鮮凍結血漿大量投与の影響
布施 明石山 秀一瀬尾 伸夫川村 博司浦山 雅弘塚本 長
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1994 年 55 巻 4 号 p. 813-817

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抄録

肝切除術のFFP (Fresh Frozen Plasma: 新鮮凍結血漿)投与の影響を主に術後免疫能の面から検討した.無輸血で施行し得た同程度の肝切除例10例を対象とし, 5例は術後FFPを投与(FFP投与群), 5例はアルブミン投与 (FFP非投与群)して第14病日まで検討した. 1) 液性免疫の変動:血漿フィプロネクチンは, FFP非投与群の方がより低下する傾向が認められたが,著しい低下ではなかった.血清補体価は特に変動は認められず,両群間に差は認められなかった. 2) 細胞性免疫の変動: PHAリンパ球幼若化試験は, FFP非投与群が術後上昇するのに対しFFP投与群では逆に低下し,両群間に大きな差が認められた. CD4/CD8でもFFP非投与群がやや高値を示す傾向が認められた.以上の結果より, FFPの投与が術後の細胞性免疫を障害する可能性が示唆され, FFPの投与は慎重に行われるべきであると考えられた.

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