日本臨床外科医学会雑誌
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無腫瘤性乳頭異常分泌症に対する分泌液中CEA測定の臨床的意義
椎木 滋雄中川 和彦佐々木 寛山下 裕湯村 正仁小谷 穣治
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キーワード: 乳頭異常分泌
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1994 年 55 巻 5 号 p. 1072-1076

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抄録

分泌液中CEA測定の臨床的意義を明らかにする目的で,無腫瘤性乳頭異常分泌75病変を対象に検討し,以下の結果を得た.
1) 分泌液中CEAがカットオフ値(400ng/ml)以上であったものは全病変の48%と高率であった. 2) CEAがカットオフ値以上で乳管区域切除を施行した単一乳管分泌20病変の組織診断は,非浸潤癌1,境界病変2,乳管内乳頭腫2,慢性炎症2,乳腺症13であった. 3) 潜血反応(-)であったものは全て乳腺症であり,乳管造影で著変のみられなかったものも全て乳腺症であった.なお,癌での潜血反応は(±)であった.
分泌液中CEAは良性病変でもカットオフ値以上となることがあり,生検の適応決定には潜血反応,乳管造影の所見をあわせて考える必要がある. CEAがカットオフ値以上であった場合,潜血反応(±)以上,あるいは乳管像に異常のみられるもので乳管区域切除の適応とするのが妥当と思われる.

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