日本臨床外科医学会雑誌
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大腸疾患以外の入院患者に対する術前便潜血テスト (RPHA法)の意義
内山 雅之沢田 俊夫斎藤 幸夫渡辺 聡明篠崎 大樋口 芳樹武藤 徹一郎
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1994 年 55 巻 5 号 p. 1143-1148

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抄録

大腸以外の疾患に対する手術を目的として入院した症例に対し便潜血テスト (RPHA法)を施行し,陽性例を中心に検討を加えた.
1990年1月から1991年12月までの2年間の東京大学第1外科入院患者は817例であり,大腸疾患以外で入院した患者は599例であった.このうち72%, 434例に便潜血テストが施行された.陽性例は28例で,陽性率は6.5%であった.陽性例中,大腸癌3例,大腸ポリープ2例が発見された.大腸以外の疾患で入院した599例中3例 (0.50%) に大腸癌が発見されたことになる.この癌発見率は,一般の大腸集団検診のものより高率である.したがって,大腸疾患以外で入院した一般患者の中にも一定の割合で大腸癌,大腸ポリープの患者が含まれているリスクがあることを念頭におき,積極的に便潜血テストを施行することが重要と考えられた.

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