比較的稀な乳腺紡錘細胞癌の2例を経験した.症例1は55歳女性で,左乳房に10×12cm大の腫瘤を認め左定型乳房切断術を施行した.病理組織学的に紡錘細胞癌と診断した.紡錘細胞の免疫組織染色ではCEA, EMA, ケラチンが陽性であった.病理病期はT4 nomoで1年8ヵ月後両肺転移で死亡した.症例2は86歳女性で右乳房に8×8cm大の腫瘤を認め右非定型乳房切断術を施行した.病理組織学的には,上皮様成分を確認できなかったが,紡錘細胞の免疫組織染色にてCEAが陽性であったことより紡錘細胞癌と診断した,病理病期はT3 nomoで術後3カ月再発はない.自験例を含む本邦報告例53例を集計し,特に免疫組織染色施行症例について若干の対献的考察を加えた.