十二指腸憩室の穿孔はまれな疾患で,欧米では100余例,本邦では12例の報告をみるに過ぎない,最近われわれは十二指腸憩室穿孔の1例を経験したので報告する.
症例は41歳の女性.上腹部痛と発熱を主訴に来院.腹部CTで腎上前部と十二指腸背面との間に遊離ガス像を伴う低吸収性塊状病変を認め,後腹膜腔蜂窩織炎の診断で開腹術を施行した.病変は十二指腸下行部中央後壁の径約2cmの穿孔した憩室と,それを囲む後腹膜膿瘍によるものと判明した.憩室を十二指腸壁を含めて切除したが,その切断端は単純縫合閉鎖を避け, Roux-Yによる挙上空腸との端側吻合により処理した.術後経過は良好で合併症もなく18日目に退院した.