日本臨床外科医学会雑誌
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肝海綿状血管腫切除例の臨床的検討
鈴木 旦麿〓村 泰樹小林 進稲田 省三桜井 健司
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1994 年 55 巻 5 号 p. 1239-1243

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抄録

巨大肝海綿状血管腫の自然破裂症例を提示した.さらに当科で過去12年間に肝海綿状血管腫で肝切除術を施行した11症例を検討し,画像による鑑別診断および手術適応について考察を加えた.男女比は6:5で,平均年齢は49歳であった.最大径の平均は10cmで,巨大血管腫例が大半を占めた.上腹部痛などの自覚症状を5例に認めたが,健診で発見された症例2例を含む6例は本症に関連した症状が全くなかった.全例に血管造影を行い, 2例に非典型的なhypovascularな所見を認めたが,これらの症例を含めMRIが鑑別診断の上で有用であった.画像診断法の発達により,必ずしも侵襲的な血管造影の必要性はないと考えられた.肝切除術の安全性が向上しており,破裂時の死亡率が高いことから,無症状でも最大径10cm以上で肝表面に近いものや,広範囲に突出しているものは現時点では手術適応とすべきであると考える.

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