1994 年 55 巻 5 号 p. 1248-1252
症例は54歳女性. 4年来肝塵胞として経過観察中であったが,画像上嚢胞内腫瘍の増大を認めた.肝S2に径3.2cmの不均一な充実性腫瘤を伴う嚢胞を認めた. 1992年8月11日肝左葉外側区域切除を施行した.腫瘍内は単胞性で殆どが凝血塊で占められており,一部嚢胞壁に充実性部分を認めた.病理組織診断では肝内胆管由来のmucinous cystadenomaであった.術後10カ月の現在再発の徴候はなく現在経過観察中である.
単房性の肝嚢胞腺腫の本邦での報告例は4例と稀で,若干の文献的考察を加えて報告した.