日本臨床外科医学会雑誌
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2回再発した閉鎖孔ヘルニアの1例
伊東 重義久保 章山内 毅
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1994 年 55 巻 5 号 p. 1293-1296

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抄録

閉鎖孔ヘルニアはまれな疾患であり,再発の報告は少ない.われわれは閉鎖孔ヘルニアの再発を2回繰り返した症例を経験した.文献的考察を加え報告する.
症例は69歳女性.昭和63年左閉鎖孔ヘルニア嵌頓のため,他院で手術を施行された.平成2年12月より左大腿部の激痛が出現するようになった.平成3年6月嘔吐,腹痛が出現し当科に入院した.イレウスの診断にて手術施行された.手術所見では,回腸が左の閉鎖孔に嵌頓していた.嵌頓を解除し,閉鎖孔周囲の腹膜を縫縮した. 2カ月後以前と同様の症状が現われたため,再発の診断のもとに手術が施行された.手術所見では前回の手術部位の腹膜がずれ再発したと思われた.
本邦では閉鎖孔に対する術式として腹膜で閉鎖する例が多いが,再発の可能性が残ると考えられた.恥骨骨膜と閉鎖膜の直接縫合が望ましい方法と思われた.

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