日本臨床外科医学会雑誌
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乳癌手術後の一期的乳房再建の功罪-患者へのアンケート調査結果を中心として-
前田 基一小西 孝司山本 精一高田 理長田 拓哉二上 文夫津川 浩一郎谷屋 隆雄藪下 和久黒田 吉隆辻 政彦
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1994 年 55 巻 8 号 p. 1926-1931

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抄録
当施設では, 1990年4月より乳癌に対する乳房切除患者に対して,主に腹直筋皮弁を用いた一期的乳房再建術を積極的に行ってきた.これら乳房再建者と同時期の乳房非再建者に対してアンケート調査を行い,乳房再建術の功罪に関して検討した. 3年間に乳房切除術を受けた患者は184例で,そのうち一期的乳房再建術を受けた患者は126例,再建率は68.5%であった. 180例に対して郵送式,無記名回答によるアンケート調査を行い, 144例から回答が寄せられ回収率は80%であった.再建術を受けてよかったと答えた人が71%で,再建乳房に対する満足度では88%がほぼ満足であった.特に再建者においては衣服の不自由さがない,女性としての劣等感を余り感じないなどの利点があるのに対して,社会的な積極性に関しては両者間に差はなかった.さらに腹直筋皮弁再建による腹部創が気になると答えた人が74%に認められ今後の問題と考えられた.以上より,一期的乳房再建術は十分乳房切除患者のquality of lifeの高揚に役だっているものと思われた.
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