日本臨床外科医学会雑誌
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進行胃癌における血清CA125の臨床病理学的検討
植木 匡梨本 篤佐々木 壽英
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キーワード: 胃癌, 腹膜播種
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1994 年 55 巻 8 号 p. 1932-1937

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抄録
1989年から3年間に経験した胃癌手術症例で術前に血清CA125を測定した219例を対象とし,腹膜播種との関連を中心にその有用性を検討した. 1) 腹膜播種と関連性がないと思われる症例において,術後約2週間目に76.5±50.7 (U/mi)と有意に上昇(p<0.01)しており,開腹操作による腹膜刺激との関連性が示唆された. 2) CA125と腹膜播種は有意に相関していた(p<0.01). sensitivityは31.9%とそれ程高率ではなかったが, specifcityは93.6%およびaccuracyは80.4%であった. 3) 150 (U/ml)以上の症例では全例に遠隔腹膜播種が認められ,高値例では術前腹膜播種診断が推測された. 4) CA125陽性26例中,深達度がse以上は92.3%, Stage IVは88.4%,およびリンパ節転移陽性は100%と,術前CA125測定は高度進行胃癌を裏づける意味で効果的である. CA125は,術前の腹膜播種および術後の腹膜播種再発に対する補助診断,さらには化学療法効果判定の腫瘍マーカーとして期待される.
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