抄録
1) 根治手術を行った胃中部限局早期胃癌223例のリンパ節転移状泥を検索したところ,癌は第1群に, sm癌は第2群までに留っていたが,幽門上下リンパ節の郭清を省略しうる症例を特定しえなかった.したがって,幽門保存胃切除術(PPG)でも幽門上下リンパ節は郭清すべきと考えられた. 2) 教室で施行したPPG施行20例(D1郭清6例, D1+No. 7郭清8例, D2郭清6例)について検討したが,安全性,根治性に問題はなかった. 3) PPG施行16例とD1郭清の幽門側亜全摘術(SG)を施行した19例を比較した. PPGは術直後の食事摂取が遅れる傾向にあったため,術後退院までの日数はPPGがSGに較べ約1週間遅延した.しかし,遠隔時では,食事摂取量, Performance status,体重の回復はPPGの方が良好な傾向を示した.早期ダンピングはPPG13%, 幽門側亜全摘術37%とPPGの方が発生率が有意に(p<0.05)低かった.