日本臨床外科医学会雑誌
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胃中部早期胃癌に対する幽門保存胃切除術における郭清範囲と術後経過に関する検討
藤岡 嗣朗沢井 清司大原 都桂湊 博史山口 正秀谷口 弘毅山口 俊晴高橋 俊雄
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1994 年 55 巻 8 号 p. 1938-1942

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抄録
1) 根治手術を行った胃中部限局早期胃癌223例のリンパ節転移状泥を検索したところ,癌は第1群に, sm癌は第2群までに留っていたが,幽門上下リンパ節の郭清を省略しうる症例を特定しえなかった.したがって,幽門保存胃切除術(PPG)でも幽門上下リンパ節は郭清すべきと考えられた. 2) 教室で施行したPPG施行20例(D1郭清6例, D1+No. 7郭清8例, D2郭清6例)について検討したが,安全性,根治性に問題はなかった. 3) PPG施行16例とD1郭清の幽門側亜全摘術(SG)を施行した19例を比較した. PPGは術直後の食事摂取が遅れる傾向にあったため,術後退院までの日数はPPGがSGに較べ約1週間遅延した.しかし,遠隔時では,食事摂取量, Performance status,体重の回復はPPGの方が良好な傾向を示した.早期ダンピングはPPG13%, 幽門側亜全摘術37%とPPGの方が発生率が有意に(p<0.05)低かった.
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