1995 年 56 巻 10 号 p. 2079-2083
患児は,在胎38週2日, 2,250gで出生.日齢12,哺乳障害のため当院小児科受診,特異な顔貌と外表小奇形などからCornelia de Lange症候群と診断された.反復性嘔吐はないが,緩慢な哺乳が続き著しい発育遅延を呈した. 1歳時に重篤な左肺片側性肺炎に罹患した.1歳5カ月時(体重5,135g),哺乳力低下,顔色不良,腹部の陥凹を認め,胸部X線写真にて左横隔膜ヘルニアの診断にて緊急手術を施行した.新生児期以降に発症したBochdalekヘルニアであり,ヘルニア嚢は存在せず, non-rotation typeの腸回転異常を合併していた. Bochdalekヘルニアを合併した本症候群の報告は本邦2例目である.本症例はIgG3欠乏症を合併しており,本症候群の易感染性の病態解明上貴重な症例と思われた.