日本臨床外科医学会雑誌
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消化管出血を来した膵仮性嚢胞の1例
横田 徳靖成瀬 勝大平 洋一阿部 貞信青木 洋二村 浩史堤 純守屋 祐介時田 威曽爾 一顕青木 照明
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1995 年 56 巻 3 号 p. 605-609

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抄録

症例は53歳,男性.30年来の大酒家であり慢性膵炎にて経過観察されていたが,突然の大量出血を来し緊急入院となった.腹部超音波検査・CT検査・消化管出血シンチグラフィーにて膵仮性嚢胞内出血の大腸穿通による下血と診断した.保存的治療にて一時的に改善したが,再度大量下血が認められたため手術を施行した.手術所見では,横行結腸を切開すると膵尾部の嚢胞との穿通が認められた.止血後,嚢胞を含めた膵尾部・脾・横行結腸合併切除を施行した.病理組織所見では,嚢胞壁の一部に動脈壁と穿通が認められた.術後,膵痩の治療に難渋したが軽快退院した.消化管出血を来す膵仮性嚢胞は予後不良症例が多く,治療は止血および外科的な嚢胞全摘が望ましいと考えられた.
今回われわれは,消化管出血を来した膵仮性嚢胞の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

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