日本臨床外科医学会雑誌
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甲状腺腫瘍の画像診断におけるMRIの評価
柄松 章司安藤 重満榊原 堅式浦上 年彦辻 秀樹小林 徹岡平 樹洋牧野 直樹
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キーワード: 甲状腺腫瘍, 画像診断
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1995 年 56 巻 4 号 p. 679-687

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抄録

近年,MRIが甲状腺腫瘤の診断に用いられる様になったが,その評価は定まったとはいえない.今回,当科で手術を施行し,病理診断の確定した腫瘤性病変のMRI画像を検討したので報告する.対象は甲状腺腫瘍149病変,その内訳は腺腫39病変,腺腫様甲状腺腫44病変,嚢胞13病変,乳頭癌46病変,濾胞癌7病変である. MRIはT1, T2およびプロトン強調像を撮影し,病巣の信号強度,腫瘍内容の性情,被膜の描出能および辺縁の性情の4項目を検討した.その結果,以下の結論を得た. 1. 嚢胞は病巣の信号強度および被膜の無いことより,腺腫は内容が均一で被膜が有ることより診断が可能であった. 2. 1cm以下の乳頭癌は過半数が描出されなかった. 1cmを超える乳頭癌は内容が不均一で部分的で不整な被膜を持つものが多かった. 3. 濾胞癌は腺腫と同条件に描出された. 4. 充実性腫瘍は大半がT1強調像iso, T2強調像highとなり,信号強度による良・悪性の鑑別は困難であった.

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