日本臨床外科医学会雑誌
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妊娠および卵巣腫瘍経過観察中に穿孔を来した若年者胃癌の1切除例
庄村 遊村林 紘二林 仁庸中野 英明上原 伸一楠田 司大橋 直樹武藤 利茂
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1995 年 56 巻 4 号 p. 741-745

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抄録

妊娠および卵巣腫瘍経過観察中に穿孔を来した若年者胃癌の1切除例を経験した.症例は妊娠9週の29歳女性で,Meigs症候群として経過観察中に上腹部痛を主訴とし入院した.画像検査にて腹腔内free airおよび大量腹水の貯留を認め,消化性潰瘍の穿孔と診断し手術を施行した.術中,穿孔性胃癌および卵巣転移(Krukenberg腫瘍), T3, N0, P2, H0, M0, Stage IVbと診断し,胃亜全摘術(D2郭清),両側卵巣摘除術,子宮内掻爬術を施行した.摘出標本では胃角部後壁に1.5×1.5cmの穿孔部を認め,右卵巣は9×8×4cmであった.組織学的には穿孔部辺縁に腫瘍細胞が残存し(2.5×2.5cm, Signetring cell carcinoma, t2, n2, P2, H0, M0, stage IVb),両側卵巣へ転移していた.術後1カ月目に退院し,外来にて化学療法,放射線療法を施行したが,術後9カ月目に肝・肺転移,癌性腹膜炎にて死亡した.

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