日本臨床外科医学会雑誌
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十二指腸へ脱出した胃上皮型cancer in adenomaの1例
国原 孝高橋 透水戸 康文平口 悦朗島田 俊史加藤 紘之
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1995 年 56 巻 4 号 p. 737-740

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抄録

今回われわれは十二指腸へ脱出した胃上皮型Cancer in adenomaの1例を経験したので報告する.
症例は63歳女性で主訴は上腹部不快感.胃内視鏡で幽門輪より十二指腸に脱出した約4cm径の山田III型様隆起性病変を認めた.胃幽門部切開によりポリペクトミーを施行し,術中迅速標本による病理診断はAdenomaであった.しかし術後の精査ではPapillary adenocarcinoma in adenomaの診断で基底部に癌遺残の可能性を指摘されたため,幽門側胃切除術を施行した.
胃腺腫のうち3%以下にみられるとされる胃上皮型乳頭状腺腫の癌化率は高いため,癌に準じた臨床的配慮が必要と考えられた.また,胃隆起性病変の十二指腸への脱出の報告は比較的稀であるが,本邦では最近40年間に100例の報告がある.

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