1995 年 56 巻 4 号 p. 751-755
症例は44歳の男性,タール便を主訴に来院.X線および内視鏡検査にて十二指腸下行脚に有茎性の腫瘤が認められ,生検にて平滑筋由来の腫瘍が疑われた.腫瘍摘出術が行われ,病理組織検査にて平滑筋芽細胞腫と診断された.
十二指腸原発平滑筋芽細胞腫は極めて稀で,その術前の正確な診断は難しい.また平滑筋腫瘍の良性,悪性を判断する指標の一つとして核DNA量を測定したところ,本例はdiploid patternを示した.十二指腸平滑筋原性腫瘍についてのDNAヒストグラム分析は今後の検討課題であると思われる.