日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
残胃の癌の臨床病理学的検討
国崎 主税小林 俊介城戸 泰洋今井 信介原田 博文森脇 義弘笠岡 千孝
著者情報
キーワード: 残胃の癌
ジャーナル フリー

1995 年 56 巻 5 号 p. 915-919

詳細
抄録

初回病変の良悪性にかかわらず,術後10年以上経過した症例の残胃の癌と定義し,胃癌術後4例(A群)と消化性潰瘍術後12例(B群)の計16例を臨床病理学的に検討した.B群で年齢が高かった.初回手術の再建術式はBillroth-I法13例, Billroth-II法3例であり, A群でII法はなかった.介在年数はA群12.3±3.9年, B群25.3±7.6年で有意差(p<0.01)を認めた.切除例は10例(62.5%)であり, A群で全例切除可能であった.発生部位は断端部(吻合部,縫合部)9例,非断端部7例であった.早期胃癌5例,進行癌11例であり,B群で浸潤型進行癌が多かった.治癒切除は9例(56.3%)であり,B群で治癒切除例が少なかった.組織型は未分化型12例(75.0%)であり, B群で未分化型が83.3%を占めた.組織学的進行程度はB群でstage III, IVが多かった. 5年生存率はA群75.0%, B群31.4%とA群で良好で,早期癌および治癒切除例で良好であった.胃切後の定期的経過観察が残胃の癌の早期発見と治療成績の向上をもたらすと考えられた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top