日本臨床外科医学会雑誌
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Tailgutcystの1例
竹内 謙二小西 尚巳西脇 寛伊藤 佳之加藤 俊夫
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1996 年 57 巻 1 号 p. 189-193

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抄録
症例は45歳の女性で便秘を主訴に来院した.直腸指診で直腸後壁に壁外性腫瘤を触知した.注腸造影検査では下部直腸に後方からの壁外性圧排像がみられ, CT検査および超音波検査では仙骨前面に多嚢胞性の腫瘤が認められた.前仙骨部嚢胞性腫瘤と診断し経仙骨的に腫瘤を摘出した.
腫瘤は多嚢胞性で,全体の大きさは6×2×1cmであった.最大の嚢胞は大きさ2×2×1cmでペースト状の物質が充満していた.他の嚢胞は大きさが0.5~1.5cmで粘液を容れていた.
組織学的には嚢胞壁のほとんどは重層扁平上皮と重層円柱上皮よりなっていたが粘液産生性の単層円柱上皮がみられる部も認められ, tailgut cystと診断した.
Tailgut cystは本邦で6例の報告をみる稀な疾患であるが,疾患名の普及とともに前仙骨部嚢胞性腫瘤の中でtailgut cystの頻度が増加する可能性があると思われた.
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