日本臨床外科医学会雑誌
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大腿ヘルニア嵌頓の内容が蜂窩織炎性虫垂であった1例
長澤 圭一長谷川 洋小木曽 清二吉田 英人平松 和洋太田 淳西尾 秀樹村田 透亀井 智貴谷合 央安藤 英也松本 隆利秋田 昌利
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1996 年 57 巻 1 号 p. 194-196

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抄録
大腿ヘルニアにおける嵌頓内容は,小腸や大網であることが多いが,今回,虫垂が嵌頓し蜂窩織炎性虫垂炎を呈した1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
症例は83歳女性.鼠径部腫瘤,疼痛を訴え近医受診.鼠径ヘルニア嵌頓を疑われ当院に紹介された.超音波検査では,ヘルニア嚢内に腹腔側から鼠径部へ向かう管腔臓器を認め,その形状,大きさからRichter型ヘルニアを疑い手術を施行した.ヘルニアは大腿ヘルニアで,ヘルニア内容は蜂窩織炎性虫垂であったため,虫垂切除術とヘルニア根治術を同時に施行した.ヘルニア内容の術前診断には超音波検査が有用で,管腔臓器を認めたら虫垂も念頭に置いて治療方針を決定すべきである.虫垂の処理は,ヘルニア門からの処理が可能であれば同一創で処理した方が侵襲・美容の面で良いと考えられる.
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