日本臨床外科医学会雑誌
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異時性原発性両側乳癌術後に直腸癌,胃癌を合併した四重複癌の1例
石井 良幸森 紀久朗大作 昌義綿引 洋一北條 正久小坂 昭夫
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1996 年 57 巻 1 号 p. 197-201

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抄録
異時性原発性両側乳癌術後に直腸癌,胃癌を合併した四重複癌の1例を経験したので報告する.
症例は51歳,女性.第1癌は右乳癌で,昭和59年3月に定型的乳癌根治術を施行した.昭和61年7月には左乳癌に対し非定型的乳癌根治術を施行し,異時性原発性両側乳癌と診断した.第2癌術後,再発の徴候なく経過していたが,平成6年2月頃より腹痛と下血が出現し,精査にて直腸癌と胃癌の同時性重複癌と診断し,平成6年5月13日に超低位前方切除術と胃亜全摘術を施行した.術後は順調に経過し,平成6年7月4日に退院となった.
剖検例を除いた臨床統計からみた本邦における四重複癌の症例報告は,われわれが文献上検索しえた範囲で自験例を含めて僅かに21例であり,その中でも原発性両側乳癌を含む報告はなく,また四重複癌全てに根治的治療が施された症例は少なく,われわれが報告した症例は極めて稀な症例と考えられた.
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