日本臨床外科医学会雑誌
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下肢静脈瘤に対する高張食塩水を用いたカテーテル硬化療法の有用性
鈴木 洋前田 富與池田 康一郎
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1996 年 57 巻 1 号 p. 43-47

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抄録

当科では1993年12月から1995年2月まで下肢静脈瘤44例71肢を対象に静脈内にカテーテルを挿入し硬化剤(1%ポリドカノール20肢, 14.6%高張食塩水51肢)を注入するカテーテル硬化療法を,選択的strippingと高位結紮術および不全穿通枝結紮術と併用した.静脈瘤は全例で消失し再発も認めなかった.合併症として血管内血栓,色素沈着,徐脈,血圧下降をそれぞれ12.7%, 5.6%, 11.4%, 9.1%認め,また局麻下の14.6%高張食塩水注入例では注入時疼痛を35.6%認めた.硬化剤別に血管内血栓,色素沈着,徐脈,血圧下降の発現頻度をみると1%ポリドカノール注入例でそれぞれ25.0%, 15.0%, 35.7%, 28.4%認め,一方14.6%高張食塩水注入例では血管内血栓を7.8%,色素沈着を2.0%認めたが徐脈と血圧下降は1例も認められなかった.尚14.6%高張食塩水の注入時疼痛は10%リドカインを添加する事で制御できた. 14.6%高張食塩水を用いたカテーテル硬化療法は合併症が少なく有用である.

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