日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
19歳の若年者に発生した悪性葉状腫瘍の1例
阪口 晃行杉原 誠一金 達也濱 直人寺内 誠司山口 晃丸山 博司中野 博重
著者情報
キーワード: 悪性葉状腫瘍, 若年者
ジャーナル フリー

1996 年 57 巻 1 号 p. 57-60

詳細
抄録
悪性葉状腫瘍は比較的まれな疾患であるが,今回われわれは, 19歳という若年者に発生した本腫瘍に対して,治癒切除を施行した1例を経験したので報告する.症例は, 19歳の女性.左乳房腫瘤を主訴に当科を受診した.左乳房CA領域に5×5cm大の腫瘍を認め,局所麻酔下に腫瘤摘出術を施行し,病理組織学的に悪性葉状腫瘍と診断されたため,手術目的に当科に入院した.若年者であったが,腫瘍が比較的大きく,乳頭にも近かったため, Auchinclossの手術を施行した.退院後,現在外来経過観察中であるが再発の徴候を認めていない.本症例のように19歳以下に本腫瘍が発生することは非常にまれである.悪性葉状腫瘍の治療に関しては未だ一定の見解が得られていないが,補助療法が期待できない現状においては,外科的切除が唯一の確実な治療法である.
著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top