抄録
症例は45歳女性,平成6年4月,右乳腺巨大葉状肉腫の診断で当科に入院となる.入院時,右乳房に径30cm大に増大し胸壁に固定した腫瘍を認めた.腫瘍は自潰し易出血性であり, MRSAと緑膿菌の感染により悪臭を放っていた.胸部CTおよびMRIで腫瘍の胸骨と胸壁への浸潤が強く疑われたため,根治には胸壁の合併切除が必要と考え,同年4月22日に右拡大乳房切除術および胸壁合併切除,さらにMarlex meshと左腹直筋皮弁による胸郭再建術を施行した.
腫瘍は肋間筋に浸潤しており,腫瘍重量は2,500g, 割面で本腫瘍に特徴的な裂隙を認め,術後組織診断ではlow grade malignancyを有する悪性葉状腫瘍の診断であった.術後は再発防止のためタモキシフェン20mgを投与し,患者は術後91日目に退院となった.