日本臨床外科医学会雑誌
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冠状動脈口解離を来したMarfan症候群に合併したStanford A型急性解離の2例
田原 浩末田 泰二郎四方 裕夫渡橋 和政三井 法真松浦 雄一郎前田 佳之
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1996 年 57 巻 1 号 p. 72-75

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抄録
Marfan症候群に合併したannuloaortic ectasiaのStanfordA型(A型)急性解離で右冠状動脈口に解離が進展したため冠状動脈再建が必要となった2例を経験した.
症例1は45歳女性で, A型急性解離発症後ICUで降圧療法施行中にII, III, aVfのST上昇を認め右冠動脈口への解離進展が疑われたため緊急手術となった.大動脈基部全置換術と右冠状動脈バイパス術, Piehler法による左冠状動脈再建を施行した.症例2は45歳女性で, A型急性解離に伴う大動脈弁閉鎖不全症を認め緊急手術となった.術中に右冠状動脈口解離が確認されたため,大動脈基部全置換術と右冠状動脈バイパス術, Bentall法による左冠状動脈再建を行った.両症例とも術後心筋梗塞は認められなかった.
A型急性解離で冠状動脈口に解離が及んでいる症例では,大動脈基部再建と共に冠状動脈バイパス術を含む冠血行再建を完全に行うことが必要である.
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