日本臨床外科医学会雑誌
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上部早期胃癌に対する噴門側胃切除例の臨床的検討とQOLの評価
大内 慎一郎瀬戸 泰士花岡 農夫工藤 保李 力行田中 雄一
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キーワード: 上部胃癌, 噴門側胃切除
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1996 年 57 巻 10 号 p. 2370-2374

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抄録

過去10年間に当院で手術を施行した上部早期胃癌は22例で,噴切11例,全摘11例であった.噴切例を全摘例と比較しながら,リンパ節転移,予後などから根治性を検討し,術後のQOLについて評価した.全摘例のリンパ節転移範囲より噴切で郭清されないNo. 4d, 5, 6のリンパ節には転移は認められず,予後でも噴切例は全摘例と差はみられず,早期胃癌に対しては噴切で十分な根治性が得られた.一方, sm癌の低分化例にNo. 7, 11のリンパ節に転移がみられ, 2群までの郭清を考慮することが重要であった. QOLを比較すると,食事量,体重の変化,血液検査成績,満足度などについては差は認められず,今後さらに,症例の集積と解析が必要であった.

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