日本臨床外科医学会雑誌
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sm胃癌に対する縮小手術の可能性
sm亜分類によるリンパ節転移の実態からの検討
荒井 邦佳北村 正次岩崎 善毅
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1996 年 57 巻 10 号 p. 2375-2379

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抄録

粘膜下層癌401例を, (1)顕微鏡的浸潤(sm1), (2)肉眼的中等度浸潤(sm2), (3)肉眼的大量浸潤(sm3)に3分類し,外科的局所切除およびD1+No. 7郭清による縮小手術の可能性を検討した.占居部位,肉眼型,腫瘍最大径別に組織学的リンパ節転移をみると,外科的局所切除の条件は, (1) sm1のC領域癌, (2) sm1の隆起型, (3) 1.0cm未満のsm全例であり,その合計は33例(8%)であった.また, D1+No. 7の条件は, (1) sm1の全例, (2) C領域癌, (3)隆起型, (4) 2cm未満のsm全例となるが,リンパ節転移の危険因子であるul(+)および低分化型癌を除外すると,その合計は101例であった. ly(+)の頻度はsm1の37%に比較しsm2から83%と激増することから縮小手術の可能性はsm1が対象となるが,正診率が62.5%である現状ではsm浸潤を疑う症例に対してはD2郭清を基本術式とすべきである.

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