日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
乳癌肝転移と鑑別に苦慮した混合型肝癌の1例
宗本 義則三井 毅笠原 善郎斎藤 英夫浅田 康行飯田 善郎三浦 将司藤沢 正清寺田 忠史
著者情報
キーワード: 混合型肝癌, 原発性乳癌
ジャーナル フリー

1996 年 57 巻 10 号 p. 2516-2521

詳細
抄録

乳癌の肝転移と鑑別に苦慮した混合型肝癌を経験したのでその画像所見を中心に報告する.症例は, 59歳女性で,主訴は,左乳房腫瘍である.生化学検査で肝機能障害, AFP, CEA, CA19-9, DUPAN-2, CA15-3, TPA, CA12-5の腫瘍マーカーの上昇とHCV抗体陽性を認めた.乳房腫瘍は,軟線撮影,超音波検査で不均一な腫瘍で原発性乳癌を疑った.切除腫瘍の組織学的検討で原発性乳癌と診断された.腹部超音波検査でS5-8に境界不明瞭な低吸収の腫瘍を, S8に境界明瞭な高吸収の腫瘍を認めた. CT検査でもS5-8の腫瘍は,境界不明瞭な低吸収域であり, S8の腫瘍は,境界明瞭であった.食道静脈の破裂から肝不全で死亡した.剖検肝の組織所見で索状配列を示す肝細胞類似の悪性細胞(Edmondson II)と腺管構造を有する胆管類似の悪性細胞が,種々の割合で混在しており混合型肝癌と診断された.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top