日本臨床外科医学会雑誌
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非寄生虫性肝嚢胞に対するエコーガイド下炭酸ガスおよび塩酸ミノサイクリン注入療法の検討
稲吉 厚高森 啓史澤田 俊彦村本 一浩藤田 学有田 哲正八木 秦志池田 恒紀
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1996 年 57 巻 5 号 p. 1060-1064

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抄録

われわれは,最近の3年間に,非寄生虫性肝嚢胞15例に対して,エコーガイド下穿刺による炭酸ガスおよび塩酸ミノサイクリン注入療法を施行した.炭酸ガスのみ注入した肝嚢胞の3例中2例は50%以上の縮小率が得られたが,嚢胞径が18cm以上あった1例には無効であった.塩酸ミノサイクリンのみ注入した肝嚢胞の4例中3例は50%以上の縮小率が得られたが,嚢胞径が10cm以上あった1例のみ50%未満の縮小率であった.また,炭酸ガスと塩酸ミノサイクリンの両者を注入した肝嚢胞8例のうち嚢胞径が10cm以上の2例を含む7例で50%以上の縮小率が得られた.また本法において,重篤な合併症はなく,安全な治療法であると考えられた.以上の結果から,エコーガイド下の炭酸ガスおよび塩酸ミノサイクリン注入療法は,肝嚢胞の治療に対し,エタノール注入療法と同様に有効であり,特に両者の併用療法は,両者の効果が期待できる事からより有効であると考えられた.

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