日本臨床外科医学会雑誌
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肝嚢胞に対する腹腔鏡下開窓術施行例の検討
野村 昌哉中尾 量保仲原 正明荻野 信夫藤田 修弘前田 克昭弓場 健義宮崎 知江本 節黒住 和史成田 匡志吉龍 正雄
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1997 年 58 巻 1 号 p. 172-176

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抄録

肝嚢胞の治療法として,従来開腹下手術や超音波ガイド下の硬化剤注入療法が行われていたが,腹腔鏡下手術の普及とともに腹腔鏡下の開窓術が施行されるようになってきた.
今回,腹腔鏡下肝嚢胞開窓術を施行した4例の臨床経過を他の治療法と比較した.肝嚢胞の最大径は8~18cmで,単発2例,多発2例,自覚症状を3例に認めた.胆石の併存を2例に認め腹腔鏡下胆嚢摘出術を同時に施行した.術後合併症を認めず,術後10~42カ月の現在明らかな再発を認めていない.過去に経験した超音波ガイド下エタノール注入療法3例および開腹下肝嚢胞開窓術2例の入院期間は,各々22±10日, 16±3日であり,腹腔鏡下手術例の入院期間7±2日は他の2者に比べ短かった.エタノール注入例は全例に酩酊や疼痛を認めた.
腹腔鏡下肝嚢胞開窓術は肝嚢胞に対する優れた治療法と考えられた.

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