日本臨床外科医学会雑誌
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総胆管結石症に対する胆管1次閉鎖の治療成績
上田 順彦小西 一朗広野 禎介
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1997 年 58 巻 1 号 p. 41-47

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抄録

総胆管結石症のうち胆管1次閉鎖(以下, 1次閉鎖群)29例とTチューブドレナージ(以下, Tチューブ群)70例について比較し,胆管1次閉鎖の有用性と問題点につき検討した.術後合併症のうち1次閉鎖群では胆汁漏出を24.1%に認めた. Tチューブ群では瘻孔形成不全によるTチューブ抜去後の限局性腹膜炎を8.6%に認めた.術後肝機能障害は1次閉鎖群7.1%, Tチューブ群14.3%であった.術後入院期間は1次閉鎖群20.1日であり, Tチューブ群の37.8日に比べ有意に短かった.結石再発は両群とも1例ずつであった. 1次閉鎖群は高齢者に多く施行されたにもかかわらず, Tチューブ群に比較して重篤な合併症が少なく,術後入院期間の短縮およびTチューブ群と変わらない予後が得られた.総胆管結石症に対して適応を守れば胆管1次閉鎖はTチューブドレナージに比べ有用な術式であると考えられた.

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