日本臨床外科医学会雑誌
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小腸平滑筋芽細胞腫の1例
中城 正夫春木 哲哉岩田 英理子庄司 剛
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1997 年 58 巻 12 号 p. 2896-2900

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抄録

症例は57歳の男性で,熱発,右下腹部痛,下血を主訴に来院した.膿瘍形成を伴う虫垂炎あるいは憩室炎の術前診断で手術を施行した.開腹するとBauhin弁より約2m70cmの回腸腸間膜に腫瘤が存在した.大きさは11.5×9.0×8.5cmであった.腫瘤と腸管とは交通があり,腫瘤内には血腫が充満していた.腫瘤の割面は嚢腫状で腫瘤壁の一部は肥厚し赤褐色を呈していた.組織所見より平滑筋芽細胞腫と診断した.手術後5年,再発なく健在である.小腸平滑筋芽細胞腫は本邦で51例の報告がある.平均年齢54.3歳,男性34例,女性18例,平均最大腫瘍径7.8cm,発生部位は上部小腸に多い傾向にある.症状として,下血,黒色便が多く,半数以上の症例に貧血を認める.腹部腫瘤,腹部膨満感を16例に,発熱を8例に認めた.ほとんどの症例で術前診断は困難で,術後に診断がついている.

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