日本臨床外科医学会雑誌
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副副腎から発生したと考えられた副腎皮質腺腫の1例
辻 研一郎佐々木 誠古川 正人酒井 敦宮下 光世藤井 秀治
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1997 年 58 巻 12 号 p. 2971-2975

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抄録

正所性の副腎皮質腺腫はクッシング症候群の1つとして多い疾患であるが,異所性の腹腔内副腎皮質腺腫は文献を検索しえた範囲では極めて稀である.今回われわれは切除しえた副副腎原発の巨大副腎皮質腺腫の1例を経験したので報告する.症例は74歳女性.平成6年9月ショック状態を伴う急性腹症にて当院に救急搬送. CT, MRIにて,少量の腹腔内出血,腫瘍内出血を伴う18cm大の後腹膜腫瘍を認めた.保存的に経過を観察した後,平成7年2月血管造影にて流入動脈(L2~5の腰動脈),流出静脈(下大静脈)を把握できたので,同年3月切除術を施行した.腫瘍は18cmの大きさで病理学的には副腎皮質腺腫であった.副腎皮質は腎と同様に中胚葉性腹腔上皮から生じ,発生学的見地から異所性に副腎皮質腺腫が発生するのは稀である.

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