日本臨床外科医学会雑誌
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動注化学療法が奏効した肛門扁平上皮癌の1例
重松 久之小橋 雄一野村 修一佐々木 澄治
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1997 年 58 巻 9 号 p. 2102-2105

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抄録

症例は76歳女性.右下肢浮腫,肛門部腫瘤を主訴として来院した.肛門右側を中心に浸潤潰瘍型の径6.5×2.5cmの腫瘤があり右鼠径部に母指頭大の硬いリンパ節を多数触知した.右内腸骨動脈からの血管造影にて,腫瘤に一致した腫瘍濃染像を認め,その時留置した動注リザーバーよりCDDP・5-FUの化学療法を開始した.計11週間の施行後,腫瘤は潰瘍を伴う径2cmの硬結となり,また右鼠径リンパ節は著明に縮小し数個触知するのみとなった.現在, CDDPの週1回の動注と5'-DFURの連日経口投与でfollow up中であるが,経過は良好である.本症例は,動注化学療法のみでも有効であったと考えられた.

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