2013 年 16 巻 Suppl 号 p. Suppl_46-Suppl_47
ネコにおいて水銀過剰摂取が懸念される。本試験では、ネコの被毛中水銀濃度を測定し、疾病との関連について予備的に検討した。来院したネコの内、健常ネコ(n=24)の被毛中水銀濃度は0.2-5.8 mg/kgの範囲であり、95%信頼区間(95%CI)は1.2-2.4 mg/kgであった。疾病ネコ(n=25)の被毛中水銀濃度は0.1-17.5 mg/kgの範囲であり、その内7頭の被毛中水銀濃度は、健常ネコの95%CIを越えていた。ヒトでの水銀中毒の典型症状である神経障害を示すネコが2頭認められたが、いずれも健常ネコの95%CIの範囲内であった。一方、炎症症状を示したネコ4頭の内、3頭が健常ネコの95%CIを超えていた。今後、ヒトでの水銀中毒の典型症状である神経障害・循環器系疾患を示すネコについて測定数を増やすとともに、炎症症状を示すネコの被毛中水銀濃度を重点的に解析する必要がある。