日本臨床外科学会雑誌
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後腹膜神経鞘腫の1例
小森 康司松浦 豊河野 弘北川 喜己西垣 美保野田 徳子伊藤 直人石川 和夫横山 真也
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1998 年 59 巻 3 号 p. 823-828

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抄録
症例は56歳男性.平成7年8月18日右上腹部痛出現し当院受診した.胆石症および総胆管結石症と診断したが腹部CT検査にて左腎内上方の後腹膜領域に円形腫瘤を認めた.腫瘤は左副腎と接しており,境界は不明瞭であった.またMRI検査ではT1強調像で低信号, T2強調像でnuid-nuidlevel (液面形成)を認めた.内分泌非活性型左副腎腫瘍と診断し, 9月11日手術施行.膵後面で下腸間膜静脈の左側に35×34×30mmの球形腫瘤を認めた.左副腎とは容易に剥離でき完全摘出した.病理組織学的にはAntoni A型とAntoni B型が混在する良性神経鞘腫と診断された.
腎上部に発生した神経鞘腫は,副腎腫瘍との鑑別が困難であり,本邦では自験例を含めて文献的報告例で記載が明らかなものは10例をみるにすぎない.自験例を含む10例の本邦集計成績を中心に文献的考察を加えた.
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