抄録
症例は71歳,男性. 45歳頃より右下肢冷感と間歇性跛行を認めていた. 1994年4月のMR angiographyで右総腸骨動脈の完全閉塞を指摘され当院紹介入院した.動脈造影検査では右総腸骨動脈は完全閉塞しており側副血行路を介して総大腿動脈が造影された. 1994年7月5日,手術を施行した.外腸骨動脈は内腸骨動脈分枝直後から狭小化し動脈径は4mmであった.完全閉塞しており, WOVEN DOUBLE VEROUR 8mmを用いて大動脈-右総大腿動脈バイパス術を施行した.病理組織学的所見では低形成部分の内弾性板は全周性に保たれており通常の動脈硬化性の組織変化とは異なっていた.以上より動脈硬化を伴った右外腸骨動脈低形成症と診断した.術後約3年経過したが間欠性跛行,右下肢冷感は認めず経過は良好である.動脈低形成は本邦で6例目と稀な疾患であり若干の文献的考察を加えて報告した.