抄録
今回われわれは治癒切除しえた乳癌,腎癌,子宮癌の同時性三重複癌の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は48歳女性.平成7年4月左乳房の腫瘤を自覚し当院を受診した.左乳房D領域に腫瘤を認め,生検ではinvasive ductal carcinomaと診断された. 6月に非定型乳房切断術 (Auchincloss法)を施行した.組織学的診断は, invasive ductal carcinoma papillotubular typeであった.術前の全身検索で左腎上極に直径約2cmの腫瘤と,左右卵巣のcystと子宮内膜の肥厚を指摘された.腎癌ならびに子宮体癌を疑い,二期的に同年8月左腎摘出術,子宮全摘両側付属器摘出術を施行した.組織学診断は,腎はrenal cell carcinoma, common type clear cell subtypeで,子宮はwell differentiated adenocarcinomaであった.