日本臨床外科学会雑誌
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胃癌に対する膵頭十二指腸切除術の意義
野本 一博梨本 篤土屋 嘉昭牧野 春彦筒井 光廣田中 乙雄佐野 宗明佐々木 壽英
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1998 年 59 巻 4 号 p. 908-913

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抄録

胃癌に対する膵頭十二指腸切除術(以下PD)の適応と意義を明らかにするために,当科でPDを施行した胃癌症例21例を対象に臨床病理学的事項につき検討した. PD施行理由は20例が原発巣またはリンパ節よりの膵頭部への直接浸潤, 1例が高度の十二指腸浸潤であった. P1, H0の1例を除きすべてP0, H0症例で,全例根治度Bであった. PD症例全体の1年生存率は65.2%, 5年生存率は41.5%であり, 50%生存期間は593日であった. 5年生存例は5例で,全例女性で, 2型が4例, 3例に横行結腸合併切除がなされていた.膵頭後部(No. 13)リンパ節転移陰性例は陽性例に比較し,有意に予後良好であった.
H0, P0で根治度Bが可能な膵頭部への直接浸潤を有する進行胃癌症例は,積極的にPDを施行することにより,予後の改善が期待できた.しかし, No. 13リンパ節転移陽性例はPDを施行しても延命効果は期待できない.

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