1998 年 59 巻 6 号 p. 1581-1584
症例は78歳.男性.上腹部不快感を訴え,近医を受診.超音波検査にて胆石症と診断され手術目的に紹介された.骨盤腹膜炎,大腸憩室炎の既往がある.入院時,腹部は柔らかく,腫瘤は触知しなかった.入院時検査所見では炎症所見はなく,腫瘍マーカーはCEAが3.3ng/mlと軽度の上昇を認めた.大腸内視鏡検査,注腸検査にて直腸S状部に狭窄を認め大腸癌を疑ったが,生検による確定診断は得られなかった.手術所見では直腸S状部憩室に刺さった魚骨と肉芽腫を認めた.魚骨による消化管穿孔・穿通症例は多数報告されているが,魚骨による大腸憩室の穿孔例は稀と思われるので報告した.