1998 年 59 巻 6 号 p. 1588-1591
大腸癌の肺,肝,腹膜転移に対し,外科的切除により長期生存の得られた1例を経験したので報告する.症例は初診時55歳の男性.前医で横行結腸癌で横行結腸切除術を受けた.当院を受診し,経過観察中の胸部X線およびCTで左肺に単発性の肺転移が出現し,左肺部分切除術を施行した.その後腹部US・CTで肝転移が診断され,肝左葉外側区域切除術を施行した.術中所見でDouglas窩に腹膜転移を認めたため,直腸低位前方切除術も併施した.術後,残肝に動注療法を行い,初回手術より6年6カ月,肝・腹膜転移切除から4年8カ月を経過した現在,再発の兆候なく健在である.