稀な食道類基底細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は67歳男性で,治療目的で当科を受診した.食道造影で病変はImIuにあり,内視鏡検査で門歯列より27～31cmの後壁に凹凸不整な隆起性病変を認めた.生検診断は類基底細胞癌で,胸部食道全摘術を施行した.切除標本では, 4.0×3.Ocmの表面が凹凸不整な1型病変を認めた.病理組織診断は類基底細胞癌(a2, n2, stage III)であった.電顕所見では多層の基底膜を認めた.術後CDDP, 5Fuの伴用療法を施行したが術後16カ月目に肺転移が,さらに脳転移もみられ術後22カ月で死亡した.進行性の食道類基底細胞癌は一般に予後不良と言われているので,類基底細胞癌の予後向上には早期発見と早期治療が重要であると思われた.
