日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
結核性脾膿瘍の1例
伊勢 一哉児山 新金沢 幸夫井上 仁今野 修芳賀 甚市
著者情報
キーワード: 結核性脾膿瘍
ジャーナル フリー

1998 年 59 巻 7 号 p. 1870-1874

詳細
抄録

胆嚢摘出術施行後の不明熱を契機に発見された結核性脾膿瘍の1例を経験したので報告する.
症例は54歳女性,主訴は発熱と右季肋部痛であった.急性胆嚢炎の診断にて胆嚢摘出術を施行した.術後8日目に37°C台の熱が出現,その後の発熱が続いた.腹部超音波検査,腹部CTで脾臓内に多発性低エコー領域を認めた.抗生物質を投与したが解熱せず,腹部超音波検査および腹部CTで病変の増大傾向を認めた.多発性脾膿瘍の診断にて脾臓摘出術を施行した.病理組織検査にて結核性類上皮性肉芽腫と診断された.
結核性脾膿瘍は極めて稀な疾患であり,本邦では自験例を含め7例の報告がみられるのみであり,うち死亡例は2例であった.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top