日本臨床外科学会雑誌
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大腸癌イレウス症例における臨床病理学的因子と長期予後の検討
木戸川 秀生伊藤 重彦中谷 博之鹿島 清隆井手 誠一郎中村 昭博小林 誠博吉田 一也梶原 啓司大江 久圀
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1998 年 59 巻 9 号 p. 2223-2229

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抄録

大腸癌イレウスについてイレウスを呈しない大腸癌と比較し,特にその長期予後に関して検討した.当科において経験した大腸癌症例357例のうちイレウスを初発症状とした79例(21.1%)をイレウス群,イレウス症状を呈しなかった非イレウス群278例(79.9%)を対照とした.なおイレウス症状とは臨床的に腹痛,嘔吐,腹部膨満などを呈し,立位腹部単純X線像で鏡面像を呈し何らかの減圧処置を要した症例とした.イレウス群は高齢者に多く,下行結腸に発生する頻度が高かった.また深達度が深く,腹膜播種性転移陽性が多かったが,腫瘍型,リンパ節転移,肝転移,静脈侵襲,リンパ管侵襲,組織型,進行度では両者に差はみられなかった.全生存率は有意にイレウス群が不良であったが,治癒切除例では両群間に差はみられなかった.多変量解析では根治度,性別,リンパ節転移の有無,深達度が大腸癌の予後因子として重要であった.

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