日本臨床外科学会雑誌
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特異な形態を呈した小腸悪性リンパ腫の1例
高橋 祐長谷川 洋小木曽 清二長澤 圭一谷合 央籾山 正人
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1998 年 59 巻 9 号 p. 2314-2317

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抄録

小腸悪性腫瘍は特異的症状に乏しく早期発見が困難なことが多い.今回われわれは虫垂周囲膿瘍との鑑別に苦慮した回腸原発の悪性リンパ腫の1切除例を経験したので報告する.症例は20歳女性.平成8年11月より微熱,腹痛が時折出現し,平成9年2月下旬より右下腹部に腫瘤を自覚するも放置. 3月中旬右下腹部痛が出現し入院となった.入院時McBurney点に一致して辺縁平滑な硬い腫瘤を触知,同部に強い圧痛,反兆痛を認めた.また中等度の貧血と軽度の炎症反応も認めた. US, CTにて急性虫垂炎による虫垂周囲膿瘍を疑い検査を進めたが,最終的には回腸原発腫瘍,特に悪性リンパ腫を疑い手術を施行した.回盲部に手拳大の腫瘤を認め,結腸右半切除術を施行した.病理組織検査で悪性リンパ腫と診断された.術後の検索では他臓器に病変は認められず,回腸原発と診断された.

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