抄録
大動脈瘻による大量喀血を来たした肺アスペルギルス症の1例を経験したので報告する.症例は75歳,男性.陳旧性肺結核,荒蕉肺,膿胸で他院に通院中喀血を伴い,当院内科に精査入院となった.入院中喀血量が増加し,徐々に大量喀血となり内科的治療では止血が困難と判断され,左肺摘除の目的で当科へ転科となった.術中胸膜胼胝剥離の際,突然動脈性の大量出血がおこりショックとなった.右大腿動脈より大動脈遮断バルーンを挿入し,大動脈遮断下に膿胸腔を開き充満した血腫を排除し内腔を観察したところ,下行大動脈に1.0×1.5cmの穿孔を認めた.肺と大動脈の瘻孔が,大量喀血の原因と考えられた.病理組織で肺アスペルギルス症と診断された.
肺良性疾患においても喀血を呈する症例では外科的切除が必要となることが多い.大動脈壁との瘻孔は稀であるが重大な合併症であり手術に際して留意すべき病態である.