日本臨床外科学会雑誌
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腹腔鏡下に摘出し得た有茎性壁外発育型胃神経鞘腫の1例
山内 孝宗田 滋夫根津 理一郎橋本 純平吉川 幸伸森 匡打越 史洋遠藤 俊治大嶋 正人
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キーワード: 胃神経鞘腫, 腹腔鏡
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1999 年 60 巻 11 号 p. 2874-2878

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抄録

腹腔鏡下に摘出診断し得た有茎性壁外発育型胃神経鞘腫の1例を報告する.症例は75歳女性.発熱を主訴に近医を受診,精査の後,腎孟腎炎と胃粘膜下腫瘍を指摘され当院紹介となった.超音波内視鏡において胃噴門部大彎側に,第4層より外層に20×25mmの低エコー像を認め,内部は不均一でまた一部石灰化と思われる像が認められた.平滑筋肉腫などの悪性疾患が除外診断できなかったため,まず腹腔鏡下にて摘出術を施行した.腫瘍は胃噴門部大彎側壁外に有茎性に発育していたため,茎部の切除のみにて摘出し得た.術中迅速病理診にて神経鞘腫と診断され,茎部も正常細胞のみであり,手術を終了した.永久標本にても,核の異型性は殆どなく良性神経鞘腫との確定診断を得た.胃粘膜下腫瘍は術前診断の困難さから治療方針の決定に難渋することが多いが,腫瘍の場所,形状によっては腹腔鏡下にて安全かつ容易に摘出,診断を行うことができると考えられた.

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