日本臨床外科学会雑誌
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骨格筋転移を来した胃癌の1例
湯橋 崇幸吉井 修二湯橋 十善民上 英俊田代 健一橋本 慶博
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1999 年 60 巻 12 号 p. 3167-3171

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抄録

症例は67歳,男性.胃進行癌手術施行約4カ月後に左前腕部の無痛性腫瘤を主訴に来院した.触診にて左前腕部に可動性のある弾性硬の腫瘤を触知し,同部の超音波検査にて,筋肉内に比較的境界明瞭な低エコー腫瘤を認めた.左前腕部腫瘍の診断にて摘出手術を施行した.腫瘍は橈側手根伸筋内に存在した.切除標本は, 2.9×1.7×1.5cm大で薄い被膜に覆われた割面乳白色の腫瘍であった.組織学的所見は筋組織内に低~中分化腺癌を認め,胃癌の筋層内転移と診断された.摘出術後,肺,肝,を含め全身的に転移の検索を行い,明らかな転移巣は認めなかったが,約2カ月後に左前腕部の筋層内転移再発を認め,さらに右側胸部(右前鋸筋内)にも同様の腫瘤を認めたため,再び腫瘍摘出手術を行い,病理組織より筋層内転移の再発と診断された.
自験例を含めた胃癌の筋層内転移の本邦報告例17例の検討では筋転移は下肢に多くみられ,組織型は一定した傾向は持たなかった.

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