日本臨床外科学会雑誌
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虫垂憩室穿孔の2例
寺田 武史炭山 嘉伸斉田 芳久柁原 宏久中村 光彦渋谷 和俊
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1999 年 60 巻 4 号 p. 1121-1124

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抄録
虫垂憩室は比較的まれな疾患である.今回われわれは,虫垂憩室を術前に診断し得た1症例と穿孔により汎発性腹膜炎をきたした1症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例1は62歳男性.右季肋部痛を主訴に来院.来院時胆石症を疑い,検査を進めるも明らかな胆石は認められず,注腸検査にて回盲部より上行結腸にかけての多発性憩室,虫垂憩室が描出され,大腸憩室炎および虫垂憩室炎の診断にて,回盲部切除術が施行された.症例2は38歳男性.腹痛を主訴に来院.腹部全体の圧痛と筋性防御を認めたため,急性虫垂炎による腹膜炎と診断し,緊急手術を施行した.虫垂には数個の憩室を認め1個が穿孔していた.虫垂憩室炎は臨床経過を通じ急性虫垂炎との鑑別は容易でなく,仮に虫垂憩室を診断し得た場合でも高い穿孔率を十分考慮し,手術を念頭に置いた経過観察することが重要である.
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